巴世里村


人形の想い(2)



ねぇ 聞こえる?


木いちご畑の隣の草むらに
スカーフを敷いて
私を座らせたその手は
ふっくらとやわらかだった

静かな日曜日
とても静かな日曜日
私の隣に寝ころんで
空がとてもきれいだから
家ん中にいるのもったいない
そう言ったあなたの声は
あたたかい風のようだった
ねぇ 聞こえる?
ずっとこうしていたいねって
私は言ったの

突然大きな鳥が
とても大きな鳥が飛んで来て
たくさん唾をはいた
唾は地上に落ちて
土が悲鳴をあげた
血柱がシャワーのように吹き出した

目の前の小さな家も悲鳴をあげた
窓ガラスが割れて
私の小さなベッドが炎を吐きながら宙を舞った
お父さん
お母さん
あなたは叫んで駆け出した

そしてまたたくさんの悲鳴が聞こえた
花や草や木の実や虫たちの苦しむ声が聞こえた

わたしのほほに水が流れていた
私の目からたくさんの雨が降っていた

ねぇ 聞こえる?
あの鳥は何をしたの?
あの鳥は何をしたかったの?

ねぇ 聞こえる?
私はいつまでここにいるの?
どうすればこの雨はやむの?
どうすればあふれる涙を止める事が出来るの?

人形のイラスト
                     詩とイラスト 巴世里



人形の想い(1)へ

みわくの森TOPへ